洋上風車のコスト削減に貢献
株式会社大林組は、洋上風車の基礎およびアンカーに適用する海洋構造物「スカートサクション」を開発した。
洋上風力発電は、固定価格買い取り制度により、今後の普及拡大が見込まれるが、洋上風車の大型化や、設置場所の水深により建設コストが増大するなどの課題がある。
同社は、従来に比べ高性能かつ低コストで実現できる円筒形のスカートサクションを新たに開発。
このスカートを海底地盤に貫入させ、洋上風車を固定する。海底地盤への設置には、大型の機械などは不要で工期も短縮できる。
スカートサクションの特長
洋上風車の基礎やアンカーには、風や波による大きな引き抜き荷重がかかる。そのため、海底地盤から十分な引き抜き抵抗を得る必要があるが、スカートサクションは引き抜き荷重が作用すると、受働サクションにより引き抜き抵抗が増大する特長がある。
日本の周辺海域に多い砂地盤の海域において、2種類の実物大の試験体で検証した結果、暴風時など荒天下で作用する引き抜き荷重に対しても、受働サクションが発生。
自重と摩擦抵抗で通常の基礎に対しては約3倍、自重だけで抵抗する浮体式では、約5~8倍の引き抜き抵抗があることを確認した。
設置においては、スカート内からの排水によって発生するサクションを利用して貫入させるため、着床式洋上風車の基礎工事のコストを約20パーセント削減、工期も約40パーセント短縮可能となる。
また、洋上風車を垂直に緊張係留する型式では、洋上風車本体のコストを約20パーセント、基礎工事にかかるコストを約30パーセント削減でき、工期も従来の半分だ。
同社は、これから本格化する洋上風車の建設において積極的な提案を行い、コストと工期の両面で貢献するという。
(画像はプレスリリースより)

株式会社大林組 プレスリリース
http://www.obayashi.co.jp/